仕事をしていると、非常に仕事効率が悪く、利益が出るかもしれないのに無駄なことをしている人は見たことがないでしょうか。そのような人は、固定観念に支配されているかもしれません。

固定観念が強い人は、過去の経験から導き出されたことや自分の信じた方法を固定化させて、自分の思考を守ることができるのですが、固定観念が強すぎると柔軟な考えを妨げる危険性があるのも確かです。今回は固定観念が強い人の原因や特徴を紹介します。

固定観念が強い理由、なぜ固定観念が作られるのか

人間には学習能力があります。過去の経験や自分で学んだ知識から現在の対応や未来の出来事を予測することができます。人間はこの学習能力を武器にこれまで大きく発展してきました。

固定観念は経験則、時には常識や成功体験やトラウマだったりするものを基準に、ある事象から一直線で結果が出力される。一種のプログラミングされた思考回路が作られてしまいます。

固定観念のプログラムコードは複雑で修正するにも原因の箇所を探すことが大変難しいです。

固定観念は自分の脳や心を守るために長い年月をかけて作られていきます。固定観念(先入観もそう)が完成すると考える手間が省けます。いちいち考えたり一喜一憂したりすることが無くなるので、脳にも心にも負担の少ない思考回路になります。

正直、固定観念がある方が本人は楽です。目の前の変化に対応するってすごいストレスですからね。変化に対応するストレスを緩和するのが先入観だったり固定観念だったりします。一から目の前の事柄を分析しなおすのは、大変な負荷ですからね。それも、毎回。

子どものうちは持っている経験や知識が少ないので、物事をあるがまま受け入れていくのですが、大人になるにつれて経験や知識を増やしていき固定観念が形成されていきます。子どもの発想力にハッとさせされるのはこういった違いによるものです。

固定観念が強い時のデメリット

固定観念は自分を守るというメリットがあるのですが、デメリットも存在します。

固定観念は目の前で起きている物事、変化を正しく捉えることができません。視野も狭くなり、自分のやり方に固執することになります。

変化を受け入れることができないので、社会からも取り残されたり、周囲の人間関係に摩擦を引き起こす原因にもなってしまうのです。

新しい発想やイノベーションは世間の常識(社会的な固定観念)を打破したときに現れます。このため、クリエイティブな仕事をしている人ほど、固定観念にとらわれないようにしないといけません。

固定観念を捨てる方法

固定観念は完全に捨て去ることはできません。もともとは自己防衛のためのものですから、完全に除去するわけにもいきません。

固定観念は自分の歴史でもあります。それを否定するのではなく上手く向き合い付き合っていくことが重要です。
固定観念を捨てる方法は「自分の中で完結せず周囲を見渡すこと」と「自分がなぜ固執しているのかを分析すること」です。

これだけで覆っていた皮がはがれていきます。

周囲を見渡し比較すること

自分の中で長年作り上げた価値観を壊すには、比較対象が必要です。

自分は今までこうやってきたけれど、あの人はどうやっているのだろう。なぜ同じ仕事をしているのにやり方に違いがあるのだろう。こういった違いや比較をすることで、自分の立ち位置がわかります。

なぜ固執しているのか分析すること

今まで何も考えずに反射的に判断してきたことについて、改めて「なぜこのやり方でやってきたのだろう」と考えてみてください。案外、これといった理由もなく惰性で(ずっとやってきたからそのまま)継続していたということも多いでしょう。

自分がイライラしているときや、怒りっぽくなっている時は自分の価値観(固定観念)に傷がついたり付きそうになっている時なので、「なぜ今イライラしているのか」「なぜこれに固執しているのか」と考えてみましょう。

例えば、朝は必ずパンを食べる人が、旅先で和食が出てきてイラついたときに「なぜ朝はパンでないといけないのか」と自問自答してみましょう。案外、理由はしょぼかったりします。

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固定観念が強い人の特徴や傾向

自分が正しいと思っている

自分が常に正しいと思っている人は、固定観念が強い可能性が高いです。

固定観念は自分の中で正しいこととして積み上がってきたからこそ形成されます。自分の中の情報こそが一番正確で、他人の意見や新しい変化を受け付けることができなくなっているのです。

他人の考えが出てきたとしても、自分の考えが全てと考えていることから、相手の考えを突っぱねてしまいます。自分中心で話を進めていきますので自己中心的と思われてしまいます。

仮に、相手の方が正しい提案や時代に沿った話をしていた場合損をすることになります。これでは、固定観念に支配されていると言われても仕方がないのです。

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理想論が好き

固定観念が強い人は理想論が好きな傾向があります。
この場合の理想論は本人の中で固まったルールやパターンのことです。自分の中で理想とするべきことが固まり、変更することができないのです。

自分の理想を叶えるために行動することはいいことです。しかし、その理想が強すぎて「必ずその理想でなくてはならない」という考えが先行してしまい、他の案を思いつかなくなります。

ひとつのことに縛られて物事を考えるのは固定観念がある証拠なのです。

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○○するべきと決めつける

○○すべきと決めつける人も、固定観念が強い人でしょう。

自分の理想とする行動が決まっているので、他の正しい選択肢を取ることができません。よくも悪くもテンプレ通りにしか動けないのです。

変化の乏しいルーティン系の仕事であれば実力を発揮することができるでしょう。しかし、変化のスピードが早く、価値観が多様になってきている現代ではなかなか難しいかも。

例えが古くて申し訳ないのですが、「女の子だからピンク色の服を買うべきだ」というようなものです。一概に間違いではないことが多いのですが、女の子だって青や緑が好きな子はいるでしょう。

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正論が好き

固定観念が強い人は、正論が好きな人が多いです。

正論は、客観的に見て「正しい考え」「正しい理屈」なので、それに基づいて自分の考えを決めている人に多いです。

正論はそれはそれで正しく、模範となることが多くありますが、複雑な人間社会では正論を真正面から述べる人は嫌われてしまいます。正論を言っている瞬間は自己陶酔することができますが、正論を言われた方は対応に困ってしまいます。これが自分の部下だったら扱いが大変です。

正論だけでは柔軟な行動ができません。正論という固定観念にとらわれてしまっていると気が付いたら孤立していたという事態になりかねないのです。

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目先のことしか興味を持てない

目標に向かって努力することはとても大切です。しかし、その目標に捕らわれて他のことに目が行かないのでしたら、非常に固定観念が強い人間だと言えるのです。

何かを成し遂げるには、自分やそのやり方を信じてひたすら突き進むことが大切です。そこには一種の固定観念の強さが必要になります。

しかし、目標にも達成までのプロセスがあります。このプロセスの中には失敗をして反省をして、試行錯誤を繰り返すことがあります。この時に自分に合った正しいやり方を作り上げていくのです。

固定観念にとらわれてしまっていると、目先の短期的なことにとらわれてしまって正しいやり方を身に付ける前に、「できたか、できなかったか」でしか物事を判断することができなくなってしまいます。

固定観念と程よく付き合うことで、この方向性でやりながら修正して進めていくというスキルを身に付けることができるのです。やりながら修正できないと、途中で諦めたり、挫折癖がついてしまったりします。

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多面的に考えることができない

固定観念の強い人の大きな特徴に、「多面的に考えられない」というものがあります。

ひとつの側面でしか考えられずに、どうしても考えが偏ってしまうのです。

ひとつの事柄に対しても、立場が違えば考え方も見方も変わります。仕事でも上司の立場と部下の立場では考えることや目線は異なりますし、営業社員と現場社員でも目線は異なります。物事を広い視野で見ることができると、心の余裕も出てきて懐が深くなります。

特にこの道何十年のベテランになればなるほど、固定観念が作り出されてくることがあります。

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人の意見を聞かない

人の意見を聞かない人も、固定観念にとらわれている人の特徴です。

固定観念にとらわれてしまっていると自分の考えが正しいとなってしまいがちです。固定観念が強くなっていく原因は自分の中に情報が少ないからです。

人の意見を聞かないということは、新しい情報を仕入れていないということです。増々固定観念が固まっていきます。自分以外の情報を拒絶してしまうと増々です。

人の意見を聞くこと以外にも、読書や実際に経験するなどを通して、「物事を正しく理解する」ことしなくなってしまうのです。

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自分の知識や経験だけで判断する

自分の知識と経験が全てだと思っていると、足元を掬われてしまいます。

固定観念にとらわれてしまうと、他の良い提案や、また違った知識を受け入れることができないから、それ以上自分の考えが広がることがありません。

固定観念は過去の経験や体験から作り出されます。これが自分を助けることも多くあります。自分の知識や経験は財産であり、これからも大切にするべきものです。ただ、柔軟な思考をするためには、自分の知識や経験に依存してはいけないのです。

こだわりが強い

ひとつのことにこだわりが強い人は、固定観念が強い人の特徴です。

職人気質の人はこだわりを持って仕事に打ち込んでいるでしょう。それは素晴らしいことなのです。特に長年の経験がモノを言う仕事であればなおさらです。

ただ、そうではない普通の人たちはこだわりが強いということにどのような印象を持つでしょうか。こだわりが強いということは執着しているということです。自分でもわからないうちに、こだわりが執着心に変わっていることも充分あり得ます。

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おわりに

固定概念が強いので、どうしても自分の考えを優先的に考えてしまうのです。ひとつのことにまっすぐな人も視野が狭く、他の大切なことが見えていないことが多いです。
様々な視野の狭さというものがあり、すべてのことに対して広い考えを持つようにしましょう。