トラブルや精神的なストレスの原因は相手に期待しているから
他人に期待すること自体は悪いことではありません。しかし、他人を期待しているとその期待に報いてもらえなかったときには、裏切られたと怒りや落胆の感情が湧き出てきます。
そこからなぜこんな目に合わなくてはいけないのかと自暴自棄になったり、その感情を整えるためにまた多くの精神エネルギーを使ってしまうのです。
他人に期待するとは?
相手に対して自分に何かしらの「見返りをくれるものだ」と当たり前のように考えているから期待してしまうのです。
期待することは信頼や感謝の気持ちとはまた異なる性質のものです。
自分が何か相手のためになることをしても、相手からはお礼の一つも無かったら「○○してやったのに・・・」とふてくされてしまうでしょう。
私たちは自分が思っている以上に他人に期待している
自分が期待はずれだったことや人に対して失望したときのことを振り返ってみましょう。そうすると自分が相手に対してどのような期待をしていたのかがわかります。
例えば、部下や後輩に対して仕事を教えたとします。しかし相手はその仕事を全然覚えてくれませんでした。当然あなたはがっかりしますよね。
例えば、昇給や昇進出来ると考えて仕事に一生懸命打ち込んだとします。しかし、人事評価は変わりませんでした。当然がっかりします。
こういう場合は、相手に仕事を覚えてもらうという期待や昇級昇進ができるという期待があったから、それが裏切られたためにストレスがかかるわけです。
逆に言えば、自分が求めているものが手に入らなかったことで失望するのであれば、それは期待していたということになります。
例えば、電車で席を譲ったとします。しかし相手はお礼の一言も言わずに無言で席に座りました。この時怒りが湧いてくるかもしれませんね。
この場合は相手からの感謝という見返りが欲しかったり、席を譲った自分を認めて欲しいという期待から生じることがあるでしょう。
これ以外にも私たちは大なり小なり何かに期待して生きていることが多いです。
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期待しない生き方は我慢することではない
他人に期待しないということは人を信じないということでもなく、自分一人で生きていくということでもありません。
いいことも悪いことも穏やかに受け入れるための精神的な器が期待しない生き方なのです。
期待はずれな結果となっても、その現実を受け入れて前へ進むことが期待しない生き方です。
見返りを諦めると期待もしなくなる
相手に期待することは相手に何かを求めているということです。
自分がやりたくてやっていることに見返りは求めませんよね。
期待するということは何かがもらえるのを待っている状態でもあるのでしょう。
何かが欲しいという思いは結局のところ自分が欲しいという、自分中心の考えてしかないんですよね。
自分が労力や時間、お金をかけて相手に尽くして、その見返りを求めずに与えっぱなしであれば期待することもありません。
最初から期待していなければ、他人からの恩恵は「当たり前」ではなくて「感謝」すべき対象になります。
それでも、無意識的に期待してしまうこともありますが、日頃からあえて期待しないように生きていくことで以下のメリットを得ることができるようになるでしょう。
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期待しないことのメリット
人間関係が楽になる
期待しないことで相手との心理的な距離感が程よく維持できます。相手へ期待しすぎてしまうと、その分相手への干渉や関わりを増やそうとしてしまい、相手との摩擦が起きてしまいます。そうなると、自分にとっても相手にとっても苦しくなってしまいます。
また、相手がろくでもない人間であるとわかると期待していない分、関わろうとしなくなります。相手に期待しても無駄だとわかりますので交友関係を断つことができます。相手のことを考えることもしませんので精神的なストレスも軽減されます。嫌な相手とは一切かかわらなくてもいいのです。世の中変な人は必ずいますからね。
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他人を許すことができる
期待しない生き方をすると相手の失敗に対しても許すことができます。だって、最初から期待していないのですから。期待しなければ失望することもありません。失望しなければ怒りが湧いてくることもありません。常に心が穏やかに保たれるのです。
そのような気持ちの人は周囲の人からも寛容な人と思ってもらえます。他人を許すことができる人は他人からも許される人になれるのです。
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気持ちに余裕ができる
相手に期待すると相手のことばかりを考えてしまいます。それが良いことであっても悪いことであってもです。
期待値が高いとそれだけ失敗したときや失望したときのイライラやストレスが増えていきます。
期待せずに「ダメならダメでもまぁいいや」という気持ちでいると、失敗したときや失望したときの自分へのダメージも少なく、精神的なストレスも軽減されます。
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選択肢が増える
相手に期待しないということは相手を自分の計画の中に含めていないことになります。
例えば、相手が時間を守らない人であれば、この人は時間を守らない人だという前提で自分の予定を組むことができます。相手に期待しなければ、相手がいない前提で様々な選択肢を考えることができるようになります。
相手に期待して、相手が期待通り行動してする予定でいると、自分の予定が相手に委ねられてしまいますので自由な発想ができなくなってしまいますよね。相手に期待しなければ、自分の選択肢は相手ありきではなくなるので自由な行動をとることができるようになります。
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他人に期待しない方法
期待しない生き方というのは、例えば「どうせこう思っても無駄だろうな」と、最初から物事を諦めて考えることです。もちろん、自分のやるべきことはしっかりとやりますが、見返り等は期待していないのです。
人に対しても期待していない素振りをみせることもあるので、どこか冷たい人間です。その代わり、人に期待しない分、自分の実力を高めていることも多いです。
今回は、期待しない方法を紹介します。
人任せにしない
期待しない生き方をしている人は、基本的に人任せにしません。かといって相手のすべてを管理しようとしているわけではなく、重要なことをはそもそも頼みません。相手に期待をして失敗されるよりも自分で行動したほうがいいと考えています。
大切なことや自分の身の回りのこと、失敗や不足があると許せないものは相手に強要するのではなく、自分でやりましょう。自分の考えの責任は自分で取るのです。
自分の人生は自分の責任であることを自覚するだけで、相手に期待したり高望みをすることが減ってきます。
見返りを求めない
人任せにしないように振る舞う方法は、常に「他人から見返りを求めないこと」がいいでしょう。
「自分はこれだけやっているのだから、やってくれるはずだ」
「○○してあげたのに、なぜやってくれないのか」
自分が頑張っていると思えば思うほど、ギブアンドテイクの考えが出てきます。自分が与えれば相手も返してくれるという期待です。
それは返報性の原則という言葉があるくらい実生活ではよくあることなのですが、これを期待してしまうと、相手に求めてしまうことになります。
「与えたものは与えたままでいい。別に自分は欲しいものはない」というくらいの気持ちでいると、見返りを求めて相手に期待してしまうことが減ってきますよ。
自立心・独立心を養う
期待しない生き方には、自立心や独立心が必要になってきます。
人間社会では一人で生きていくことは不可能です。これは真実であり変えることはできません。
しかし、他者に依存してしまうと自分のことを自分でコントロールすることができなくなってしまいます。
他人に期待しないということは、人に頼らない生き方です。どうしても「自分の道は自分で切り開くこと」が必要なのです。そのためには自立したり独立したりできるくらいの努力と気持ちが必要です。
自分の軸がある人は他者に依存することなく自分で考え、自分で行動することができます。
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結論は自分で出す
人の意見を聞くことはあっても、結論はしっかりと自分で出す人は他者への依存度が低く、相手にも過度な期待をする必要性が無くなります。
最初から「自分でなんでも決めることができる人」は、最終的な決定を自分で行うことで、自分の意見を考える機会が多いのです。この人は、自分の意思というものが確立しているのです。
結論を自分で出せないような優柔不断な性格では、自分の意見を相手に委ねてしまったがために、何かミスが起きた時に裏切られたという気持ちが出てきます。
あえて自分の結論を相手に委ねて、自分は相手の指示通りに動いただけだという形をつくる。これで自分は被害者であると「悲劇のヒロイン」のような気持ちになれます。
これでは自分の気持ちを投げ出しているだけで、自分の人生を相手に委ねてしまっている。失敗したときの恐怖や不安、相手を責める気持ちが延々と湧き上がってきます。
夕食のメニューでも何時に寝るでもいいのです。自分の行動は自分で決めてみましょう。何をやりたいのか自分で決めてみましょう。
これだけで自分に対する責任感が芽生えてきて、他人に期待していくことも無くなってきます。
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相手に求めている理由を分析する
相手に期待しないというのはやろうと思ってもかなり難しいです。裏切られたという気持ちは相手に期待しているから生じるのですが、この期待の正体を分析してみると気持ちが穏やかになってきます。
自分が相手に求める際も、「なんで相手を求めるのか」ということをちゃんと分析する人は、他人に期待しないことができるでしょう。
自分は相手に何を求めているのか、自分がやってきたことに対するどんな見返りを示してくれるのか。これを無意識のうちに作り上げてしまっているはずです。
メタ認知のような感じでしょうか。
「あぁ今、俺イライラしているな」とか
「今、悪いことしゃべっていたな」とか
自分で自分を眺めているような気持ちで自分を分析しているのです。相手に何を求めているのか、望んでいるのかがわかれば冷静に自分と相手のことを理解することができます。
もしかしたら「新人だからこの仕事は言われなくてもやるべきだ」とか「この案件を決めたのになんで上司は評価しないのか」とか相手に何を期待しているのかを自分の中に落とし込むことで、自分の感情を正しくコントロールすることができるようになります。
自分が相手に期待していることは無意識のうちに自分の欲望が映し出されてしまっているものなのかもしれません。
自分の時間を増やす
自分の時間を大切にして、増やしているという人は、他人に期待をして裏切られるような気持ちになりにくくなっていきます。
自分の時間は自分と向き合う貴重な時間です。
正直なところ他人を変えることは不可能に近いです。もともとやる気のない人に「やる気を出せ」とか言ってみたり「モチベーションを上げる対策」をしたところで効果は薄いです。本人が自覚しない限り内面の変化は出てきません。
変えることができない他人に対して自分の時間やエネルギーを使うことは非常にロスが多いのです。しかも、結果的に好転する形になることもほとんどありません。
相手への期待で自分のエネルギーを使ってしまうとそれだけで疲れ果ててしまうのです。
相手のことを考えて、ああしよう、こうしようと考えていたり、相手の言動を思い出してイライラしたり。ひどいときには夢にまで出てきて目覚めが悪くなったりします。
自分の時間を確保する。相手に対する時間を作らないだけで、かなり自分のエネルギーが節約できます。
相手に向き合うのに疲れたら、自分と向き合いましょう。
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ドライに考える
ドライに考えるということは、物事に対して一歩引いた目線で冷静に考えることです。
人間関係で相手に期待してしまうときは、相手と仲良くなっている又は仲良くなりたいと思っている時に起こりやすいです。「自分とあなたの仲だからこれくらいわかってくれる」そう思ってしまうかもしれません。
仲がいいこと自体はまったく悪いことではありません。しかし、相手も人間です。自分の思い通りに言動をしてくれることはありません。そもそも、自分の思い通りと考えている時点でちょっとおかしいと気づいた方がいいですね。
相手に期待して傷つくのが嫌ならば、一歩引いて少し冷めたくらいの気持ちで接してみましょう。
職場だろうと学校だろうと友達を作りに行っているわけではないのですから、ドライな人間関係だっていいじゃないですか。
他人への理想を諦める
他人に期待する場合は、なんらかの理想があります。
例えば「後輩を指導して仕事ができるようになれば、自分の仕事を引き継ぐことができる」という気持ちですね。理想というよりも願いというか、そうなるように仕向けるというか…
特に自分が育てたり、積極的にかかわってきた人であればなおさら思い入れが強いです。思い入れが強いと当然期待してしまいますよね。
積極的に指導はするけれど、成長していないならそれは仕方ないと思う気持ち。相手に対する理想的な言動や成長、リアクションなど…
期待していない人は、最初からそのような理想を持つことを諦めているのです。諦めると期待することもありません。
かといって、投げやりになるのではないですよ。
自分もやるべきことはやる。やることをやったうえであとは成り行きに任せるのです。
自分への期待も諦める
私たちは幼いころから自分には無限の可能性があると教えられてきました。親や先生たちは自分たちに期待をして、自分も自分自身に対して「努力すれば報われる」「頑張ればきっといいことある」と期待してきます。
しかし、どこかの段階で自分の限界を知る時が来るはずです。同じように努力しても自分はあいつには敵わない。自分はくだらない人間だと自暴自棄になってしまうかもしれません。
ここでは努力の方法や気合について論じるつもりはありません。ただ、自分に対しても過度な期待をしてしまうと、できない自分を許せなくなり、いつしか自分が嫌いになってしまいます。
「自分はこんなもんなんです~。ははは~。すんませ~ん」って気楽に構えている方が自然体の自分を見つけることができるようになりますよ。
まとめ
他人を期待しないことで、自分の好きな人生を歩むことができるようになります。あるがままを受け入れることができれば他人への期待もなくなります。同時に他人からの期待にも自由になれます。他人の批判も気になりません。自分という軸がしっかりと作られ、他人に左右されることなく穏やかな気持ちで生きていくことができるようになれるのではないでしょうか。
ただ、完全に他人を期待しないことは不可能に近いです。みな、なんらかの形で人に支えられています。自分でなんでもできるからといっても、ほんのちょっとでも自分を助けてくれる人に対しては、ちゃんと感謝をするようにはしてください。